「編集室の書斎」〜ちょっぴりつくってみた、旅へ誘う古民家空間

船橋ヘルスセンターに行川アイランド

……昭和50年頃の房総の旅へ、

ご案内致します

「旅」の書棚とは別に設けた「写真」コーナー。土門拳、木村伊兵衛関連のほか、千葉市美術館で行なわれた「21世紀の写真」展の図録、『GRAPHICATION』の写真特集号をチョイスしました。早く読みたいなぁと思っているのが、鳥取県境港市にあるセレクト本屋さん「一月と六月」で買い求めた『カコちゃんが語る 植田正治の写真と生活』(増谷和子著・平凡社)。「パパとママとコドモたち」(1949年)〜いいんですよ、この写真が・・・
「旅」の書棚とは別に設けた「写真」コーナー。土門拳、木村伊兵衛関連のほか、千葉市美術館で行なわれた「21世紀の写真」展の図録、『GRAPHICATION』の写真特集号をチョイスしました。早く読みたいなぁと思っているのが、鳥取県境港市にあるセレクト本屋さん「一月と六月」で買い求めた『カコちゃんが語る 植田正治の写真と生活』(増谷和子著・平凡社)。「パパとママとコドモたち」(1949年)〜いいんですよ、この写真が・・・

久しぶりに休日をゆっくり自宅の古民家で過ごせる一日。

ふと、一冊の本が届けられました。

添乗員時代を過ごした東北での暮らしにピリオドを打ち、いよいよ房総へ行かんとする頃に立ち寄った、盛岡のホームスパン工房「中村工房」さんから餞別でいただいたのが『てくり』の第二号でした。編集に何か迷うことがあれば、必ず『てくり』に立ち返ります。今も、『てくり』の最新号が届けられると、「がんばっているかい?」と言われているような気がしてきます。


・・・そうだ、たまには好きなことを思いのままにやってみよう。『てくり』を手に取り、そう思い立ちました。前々から、古民家の空間の中に「本」という要素を取り入れたいと思っていたのですが、どこから手をつけるべきか、わかりませんでした。でも、好きなことから、自分が愉しいと思うもの、そう、「旅」にまつわる本を思い付くままに並べてみよう。


そう思って出来たのが、こんなちょっとした書棚でした。

今日は抱さんのオリジンブレンドを啜りながら、ゆっくりページをめくります
今日は抱さんのオリジンブレンドを啜りながら、ゆっくりページをめくります
気が付けば離島から海外、はたや民俗学の旅まで。縦軸、横軸、各方面への旅が揃いました
気が付けば離島から海外、はたや民俗学の旅まで。縦軸、横軸、各方面への旅が揃いました

詳しく見てみましょう。

こちらは、山陰の旅の道中で立ち寄った「一月と六月」さんで購入した『TRUE PORTLAND』(BRIDGE LAB)。ここのところ、海外なんてもう行けないな、なんてちょっと悲観的になってましたが、海外旅行熱がこの本に触れてから上昇中です。いままでポートランドについてほぼ知りませんでしたが、こんな暮らしのレベルから面白い都市があるんですね。

続いては時間旅行を体験してみましょう。

昭和9年に初版が出版された、当時のガイドブック『日本案内記』(鐵道省)です。

手元にあるのは昭和10年の第九版です
手元にあるのは昭和10年の第九版です

当時の鐵道省から発行されており、各国有鉄道路線沿線ガイドを主体とした構成になっています。


ページをめくって思ったのが、テキストと写真の比率です。

昔のガイドブックは扉部にグラビア的に写真が差し込まれているものの、ほとんどテキストです。見開きすべて文字だらけ、というページの方が多いです。ですが、読み進めていきますと、いかに昔のガイドブックが言葉豊かに、読み手に創造を掻き立てさせながら表現しているかがわかります。改めて文字の力を思い知らされました。


各地方紹介の間に、写真ページが差し込まれてます。上は島根県の三瓶山と、温泉津温泉の家並みです
各地方紹介の間に、写真ページが差し込まれてます。上は島根県の三瓶山と、温泉津温泉の家並みです
活版印刷の誤植でしょうか?途中で「た」の字が90度横を向いてしまっています(笑)
活版印刷の誤植でしょうか?途中で「た」の字が90度横を向いてしまっています(笑)

扉には山口県の名所「錦帯橋」の浮世絵も
扉には山口県の名所「錦帯橋」の浮世絵も

戦前から、時を下って1960年へ。

半世紀前の『旅』(日本交通公社)で旅をしてみましょう。

さすがに日本案内記に比べ、写真が多くなっていますね。

『旅』は旅行雑誌を代表する雑誌でしたね
『旅』は旅行雑誌を代表する雑誌でしたね
この号は与論島が登場。写真の風俗にも注目です
この号は与論島が登場。写真の風俗にも注目です

更に時を下って昭和50年頃へ。

場所はこの地、房総です。

山田書院から出された全国のトラベルガイドの第4巻『日光/房総』。本の奥付に書いていないので正確な発行年は不明ですが、掲載情報などから昭和50年頃と推定されます。

船橋ヘルスセンターの様子です。船橋出身の私ですが、ヘルスセンターの記憶はなく、その後にできた「ららぽーと」の方が親しみ深いです
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御宿の海女。同じく紹介されている白浜の海女との着ているものの違いを見比べてみるのも面白いでしょう
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勝浦市の鵜原理想郷からの景色
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フラミンゴといえば・・・今はなき勝浦市の「行川アイランド」
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鋸山の山麓にある「桃太郎園」って!?
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飯岡(現:旭市)の「カツオ節飴」って一体!??
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現代の房総の旅も、『RND 輪土』(前田義生・瀬上昌子編著 スクーデリアブックス)でDEEPに綴られているので、こちらもお見逃しなく。

ではみなさま、佳い読書の秋を、ご堪能くださいませ。