【いっぴんさん】木更津のブルワリー「ソングバードビール」〜クラフトビールであると同時に、あくまでも「地」のビールを目指す意志が、このひと瓶に込められています

月刊ぐるっと千葉9月号の「いっぴんさん」は、木更津市にある「SONGBIRD BEER」を訪ねました

Posted on 2015.9.2

今月号のいっぴんさんは、木更津市で地ビールを醸造するブルワリー「SONGBIRD BEER(ソングバードビール)」さんです。

 

■SONGBIRD BEER

木更津市清川1-14-12

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久留里線の上総清川エリア、カフェ「Grumpy」さんのほど近くにその工房はありました。ビールを製造するところといいますと大きな工場をイメージしますが、ソングバードさんは一見、レストランやカフェと見紛う外観。樽の置かれた工房も思っていた以上にこぢんまりしていました。


ソングバードビールは両国にあるビアパブ「ポパイ」や、アメリカで経験を積んだ中島恭平さんが、元バーテンダーの奥様、モナミさんとともに工房を切り盛りされています。今年の3月に初醸造、5月の下旬に初めて現店舗での販売が始まりました。

ブレッタノマイセスという種の酵母で発酵させた「BRETT-TABLE BEER」
ブレッタノマイセスという種の酵母で発酵させた「BRETT-TABLE BEER」

今回、レギュラーの「BRETT-TABLE BEER」のほか、季節限定醸造品「夏みかん&ジンジャー」を味わいました。どちらもやわらかな口当たりで、特に「夏みかん&ジンジャー」の方は、フルーティーな酸味が舞い上がっていくようで、暑い夏にはぴったりでした(この日はめちゃ暑かったんです・笑)

 

破砕した麦芽の投入→麦汁の濾過→加熱・ホップやスパイスの投入→麦汁の冷却・酵母の投入→熟成へと至る、一連の過程については、ぜひ本誌をご覧くださいませ。


今回取材をさせていただいて印象的だったのは、恭平さんの

 

「『クラフトビール』より『地ビール』って言う方が好きなんです」

 

というお言葉。ソングバードさんが採用されている上面発酵の場合、醸造のプロセスがきちんと確立できるようになると酵母を繰り返し使うことができ、ヨーロッパの伝統的なブルワリーでは200年以上も使い続けているところがあるそうです。思わず野菜の在来品種のことなどを思い浮かべました。作り続けることで、その土地、風土に適したものができるようになっていくと。

 

「日本酒の蔵付き酵母のように“ここ”の酵母にしていきたい」

 

という恭平さんからは、この木更津、上総という地で生業を築いていくことの意志が滲み出ていました。原料についても木更津のブルーベリーの活用を試行されていたり、一方で麦芽の粕を鶏のエサとして、地元の農場「耕す」で使ってもらったりと、地元の素材や人と連携しながらこの地ならではのビールを生み出さんと、この地にあってこそのブルワリーにならんとされているのです。ソングバードで注がれる一杯は、クラフトビールであると同時に、あくまでも「地」のビールなのです。