西日本一周の旅[4]四国から近畿へ。長野、群馬にも寄り道

一昨年、昨年に続いて今年も車中泊しながらの西日本一周の旅へ。前回以上に本屋さんからの口コミで旅程が組み上がっていく面白い展開でした(※Facebookに掲載したものをそのまままとめたものです)

「西日本一周の旅…点景 2018.5.24」

 

大歩危峡(徳島県三好市)

ハレとケ珈琲(三好市)

なタ書(香川県高松市)

本屋ルヌガンガ(高松市)

しるの店 おふくろ(高松市)

仏生山温泉(高松市)

 

この日は元・千葉県人に続けざまに巡り合うというミラクルな一日。

 

・大歩危峡

一番高い地点でも標高400mちょっとの千葉県から来た者からしたら、こんな急峻な谷をゆく幹線国道はなんともエキサイティング。R32沿いにあるモンベルショプでSOTOガス缶を供給

 

・ハレとケ珈琲

よくぞこんな谷へ向かう斜面に道や集落を作られた・・・平家の落人伝説と、先人のここで暮らし、生き抜く執念のようなものをひしと感じる。美しい佇まいを有り難く写真に撮らせていただく。

そんな集落からちょっと山を登ったところに廃校が。グラウンドで熱戦を繰り広げるおばあちゃにゃおじいちゃんの表情がにこやかで、会釈しつつ校舎内へ。川の鳥の声に導かれながら体育館の先にある教室に向かうと、カフェが待っていました。

地元の工房で作られた味みそまたはジャムをチョイスし、ここで焼いたピザにトッピングしながら食事を味わえます。私は山椒味噌を選んで食べましたが、チーズとの相性が思いの外いい!手回しの焙煎機でローストしたコーヒーもレトロな器で美味しく戴きました。ジビエのピザも出されているようですね。

食後、ここハレとケ珈琲でお菓子作りを担当されている植本アヤコさんに、ここはデザイン会社をやってるお姉さんがいろいろ活用してる場だとか云々、お話を伺っていると、なんと元・松戸市民とのこと。しかもお父さまが、松戸市で「イグレックイグレック」というコーヒー店をやられているそう。「ここをオープンす時も父に来てもらっていろいろアドバイスしてもらったんです」。松戸のお店では自ら焙煎した豆を、ネルドリップで淹れてくれるらしい・・・こ、これは行かねば(笑)

興奮気味に話していると、不意にアヤコさんが「これ、父にもみせたいな」と、お店の閲覧用にお渡ししていた『房総コーヒー』を、なんと購入していただいた。いやぁー、贈り物にしたいと買い求めていただけるなんて!本を作ってよかったなと心から思う瞬間です。本当にありがとうございます!

 

・なタ書

今回の旅で立ち寄った先々の本屋さんで名前の挙がった、予約制の本屋さん。時間にだいぶ遅刻して、こりゃまずいなと思いつつ入り口の前まで到着すると、不意に道の向こうからやって来た店主の藤井さんとばったり。「あれ、ひょっとして予約された方・・・」・・ハイそうですと恐縮しつつ、藤井さん、「やあ」という感じでかるーく出迎えてくれほっとしました。遅くなりましてすみません!

ビルの2階にあるお店に靴を脱いでお邪魔すると、仄暗い空間に所狭しと本が並んでいたり、積み上げられていたり、本じゃない怪しげな!?壺のようなものが置いてあったり・・・一見ただ乱雑に見えるのですが、不思議と順番に見ていってもあまり違和感がなくって。ここを訪れる人たちの様々な個性を、おおらかに受け止めてくれるような・・。大好きな写真家にして冒険家の石川直樹さんが、香川で写真学校をされている際にまとまられた冊子があり、それを買い求めました。

また、面白いことに「漫画家の方が来られて、書いてくださったんです」と、なんとなタ書と藤井さんがモデルになったユルいドキュメンタリー!?漫画『FULL本屋』(赤目キクヤ作)が!これは欲しい、ということで藤井さんのサイン付きで購入しちゃいました。これはいい記念になります。

そかもそのあと、徳島から来られたというお客さん共々、高松や徳島の面白そうなスポットをいっぱい教えていただきました。楽しい時間をありがとうございます!

 

・本屋ルヌガンガ

藤井さんに教えてもらったお店のひとつで、こちらは新刊書店です。しっかり『FULL本屋』もコメント付きで置いてありました(笑)

ルヌガンガさんは整然とした雰囲気で、キリッと紳士のような空間。奥にはカフェスペースもあり、ゆっくりと本が楽しめます。本のジャンルも幅広く揃い、間口の広さを感じさせますが、棚ごとにメッセージが込められているよう。日本や海外各地の旅のコーナーもレジ脇にあって、ここが好きだったなぁ。旅の最中なのに、また旅に行きたくなります。

店主の中村さんにお話を伺うと、書店で働いたのちに香川に戻り、念願のお店をオープンされたそうです。そしてなんと中村さんも子どものころ千葉に住んでいたことがあるとのこと。そんな訳もあってか!?『房総落花生』を楽しんで見ていただけました。この本を手にする方、みんな笑顔になるのでなんだか嬉しいですね(笑)

 

・しるの店 おふくろ

こちらも藤井さんオススメの店のひとつ。まず「汁物」を注文し、カウンターに沿ってズラーっと並んだお惣菜や刺身をチョイスするというおばんざいスタイル。どれがいいかなー、なんて見てると「これは天然物のタイの唐揚げよ」など、矢継ぎ早にオススメされるので、じゃあこれとこれ!と勢いよく頼んでいたら・・・頼みすぎた!頼んだ鯛のあら汁は器からしてでかいし、しかもご飯が茶碗3膳分くらい振舞われる・・・が、きっちり完食しました。タウン誌時代の食いの底力がまだ残っていたようです(笑)お客さんとお店のおばちゃんの会話を盗み聞きしてたら、創業は52年らしく、最近は外国人、西欧の方も多いとのこと。ほんとうにおいしくて、この活気、雰囲気は素晴らしく、確かに外国の方にもオススメしたくなりますね。

 

・仏生山温泉

出張本屋コーナーがあり、本が読めるおしゃれ温泉。銭湯感覚で立ち寄れる気軽さもいい。

庭を眺めながら湯船に浸かっていると、湯に入りながら文庫を読む男性が・・・アレ?どっかで見たような・・・。なんと、さっきなタ書で出会った、徳島からご夫妻で来られていたお客さんだった。

うわー、また会えるとは!お互い興奮しつつ、休憩所で話を繰り広げていると、なんとなんと、ご主人の石川翔さんは日本最大の落花生産地、八街市のご出身!「(砂埃ならぬ)『やち埃』って言って、畑の砂埃がすごくて(笑)。落花生畑の脇を通学してましたよ・・・そうそう、駅前に落花生像があって」。いや、これはもう『房総落花生』贈呈でしょう。こんなことは滅多ないですよ。気持ちよくプレゼントさせていただきました(笑)すると今度は奥さまの美緒さんが「うわー!」と歓声を挙げるではありませんか。埼玉出身の美緒さんも「ピーナツハニー」のリアル経験者。埼玉にもピーナツハニー、進出してたんですね(笑)

そしてさらなる偶然がもう一つ。石川さんご夫妻、働き方を見つめ直す事があり、農業を志すようになります。たまたまみかん農家の募集を見て移住したのですが、その移住先がなんと、徳島県の勝浦町。実は私の住んでいる勝浦市と友好を結んでいる、馴染みある町なのです。なにを隠そう、勝浦市最大のイベント「ビッグひな祭り」も、勝浦町で行われていたお雛様イベントを勝浦市でもやりたいと言って始まったものなのです。

そんな石川さん、農家の宿「あおとくる」という古民家宿も運営されています。これは次旅する時にぜひ立ち寄りたいです!

「西日本一周の旅…点景 2018.5.25」

 

池上製麺所(香川県高松市)

脇町の町並み(徳島県美馬市)
 →フナトト
 →楽庵

南海フェリー(徳島市→和歌山市)

本屋プラグ(和歌山市)

幸福湯(和歌山市)

 

・脇町の町並み

昨日、仏生山温泉で奇跡の再会を果たした「あおとくる」の石川さんより教えていただいたスポット。元・千葉県人なので「佐原の町並みから商店をなくしたようなイメージです。静かな雰囲気ですよ」と、私的には非常に分かりやすい解説。香取市佐原も、美馬市の脇町も、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

脇町の重伝建指定区域は本当に静かで、佐原のように車の往来が激しくないのが嬉しい。うだつや虫籠窓が鈍色の瓦屋根に映えます。カフェやゲストハウスがあったり、藍染体験をしている外国の方もいて、いい雰囲気です

 

・フナトト

石川さんや「なタ書」の藤井さんに「お店の中に本屋がある」と教えていただいたのがこちら「フナトト」というお店。「築100年ちょっとでして、本屋、雑貨店、カフェがシェアしています」と教えてくれたのは、お店に立つ高橋さん。本業は建築設計だそうで、町並みの建物活用と、仕事のシェア、多様化を楽しく展開されています。この日はご不在でしたが、本屋は「Philbooks」という屋号で、店主の本業は看護師だそうです。

アイスカフェオレをいただいていると、ひょっこりおじちゃんがパンを届けにきたり。このおじさんは三好市の「はなぱん」というパン屋さだそうで、フナトトに至る道中配達しながら回られているそうです。現在の行商人!私も似たようなものか(笑)。旅人や二地域居住されている方もやって来たりと、いろいろな人たちが集います。この雰囲気、いいなぁ

 

・楽庵

高橋さんに教えていただいた、手打蕎麦店。フナトトから歩いてすぐのところで、香り高いお蕎麦もさることながら、ミニちらし寿司も美味しい

 

・南海フェリー

ちょうどドックダイヤで便数が少なく、なんと車の航送がキャンセル待ちに。いやぁ、淡路島経由で行かざるをえなくなったらえらい時間かかるぞ・・・。ヒヤヒヤしながら待つことしばし、なんとかギリギリ乗船でき、ほっと肩をなでおろす。カーフェリーは予約が無難だと、新たな学びを得る。

鳴門海峡大橋を遠望しつつ、「さらば四国、いろんな人たちとの出会いが旅程そのものだったなー」と心の中でつぶやく

 

・本屋プラグ

和歌山の本屋さんなら・・・と、いくつかのお店でオススメされた、和歌山市の中心市街地にある本屋さん。ドリンクを中で頼めるほか、様々な催しも行われてます。

和歌山のリトルプレス『つき草通りで』が全部揃っていたほか、本屋プラグが版元となっている『キセイびと』など、和歌山本もずらり。

店主の三木さんは仲間たちと和歌山のモーニングを食べられるスポットを紹介する『waccalla モーニングのススメ』などフリーのZINEを手作りされるほど、本好きの情熱が溢れるお方。元々はこの場所にあったシェアキッチンにお客として通っていたそうですが、本スペースを拡大するうちに、本屋店主となってしまったそう(笑)。「実際お店としてあると、違いますよね。いろいろなことが起こって面白いです」と話す三木さんです。

 

・幸福湯

シブい銭湯。というより、界隈の裏路地や川べりの商店街、飲屋街も昭和感がすごくて驚く。一方で夕食に苦戦。素直に和歌山ラーメンやしらす丼をチョイスすべきだったか。

「西日本一周の旅…点景 2018.5.26」

 

とほん(奈良県大和郡山市)

K Coffee(大和郡山市)

本家 菊屋(大和郡山市)

KYOBATE THINKING 2日目のオープン商店街(奈良市)

mamma mia(滋賀県甲賀市)

四天王会館(三重県津市)
 →Kitchen Work pecorino
 →kalas Books

奥山銘木店(津市)

アクアイグニス(三重県菰野町)

 

・とほん

昨年末に続いての訪問。奈良県関連の書籍、リトルプレスのほか、大和郡山名物、金魚のグッズもそろってます。今日は店主の砂川さんがご不在で奥さまがお店番をされていました。なんでも、JR京終駅の催しでお忙しいとのこと。そんな時に伺ってしまい恐縮です。その催しについていろいろ教えていただきこの後のぞいてみることに

 

・K Coffee

コーヒースタンド前の名物アート、金魚電話ボックスが撤去されていてびっくり。でもコーヒーやさんが代わりに(?)水槽を準備していた。縁日の金魚の袋に入ったドリップセットがかわいい

 

・本家 菊屋

正倉院文様の箱にキュンときてしまった鹿もなか。お店の佇まいも老舗の貫禄

 

・KYOBATE THINKING 2日目のオープン商店街

JR京終駅リニューアルに伴い。NPO KYOBATEが主催で催したイベント。街にこんなお店があったらいいな、というのをイベントを通じて少しずつかたしにちていく試みで、駅舎の待合室や界隈の空き店舗も活用し、カフェ、八百屋、そして本屋が2日間限定オープン。大和郡山の商店街もそうですが、若い人たちと地元の人たち、駅を利用する人たちが相俟って賑わっている様子は、見ていてこちらもうきうきしてきます。一つ一つの個店がきらり輝くきっかけ、舞台があるように感じます。

 

・mamma mia

稲垣早苗さんの著書『工房からの風 作る・働く・暮らす・生きる 20の工房を訪ねて』(アノニマスタジオ)を読んでから、ずーっと行きたいなぁと思っていました。

木造校舎を甦らせたものづくりの拠点には、ギャラリーやカフェが併設されていて、入り口の佇まいを見た瞬間から、うわぁっと心の中で歓声を挙げる私。

数年前の「工房からの風」で買い求めて以来、今も毎日使い続けている竹口要さんのラトンシリーズの器。空間を超えて、この地で再びお目にかかれるとは、仲間に出会ったような感じがしてなんだか嬉しい気持ちになりました。

ホットコーヒーとともに季節のフルーツのパリブレストを。田園を駆け抜ける風が、この丘の上に辿り着き、心地よく頬を撫でます。なんて、穏やかな時間。実は、今回の旅、勝手きままな感じではありますが、本屋さんに関しては定休や営業時間鑑みて効率的に廻っているのです(それ以外は結構行き当たりばったりですが・笑)。このなだらかな風景と、ゆっくりとした時間の流れに身を委ねて、久しぶりに心からゆっくりした気がしたのです。いろいろ気持ちがリセットできました。心新たに恩人に会いに行けそう

 

・kalas Books

ここはずっと行きたいと思っていた・・・というよりも行かねばという気持ちが強かった。三重県を代表するリトルプレス『kalas』を、基本一人で制作されている西屋さんが、奥様とともに切り盛りする古書店。四天王会館という、カフェや劇場が入りクリエイターが集う、文化発信基地のようなレトロビルの2Fに店舗を構えてらっしゃいます。

何を隠そう、西屋さんとの出会いがなければ、自ら本を作ろうと思い至らなかったかもしれない、ある意味師とも呼べるお方なのです。もう6、7年以上前になるでしょうか、盛岡市で「モリブロ」というブックイベントが行われて、西屋さんがトークに登壇されました。当時私はほんとうにやりたい本作りをやるには、どうしたらいいのかと、頭の中がモヤモヤしていて、それを西屋さんに打ち明けたのです。初対面にも関わらず、イベント後の食事の際、どうやって本を作られているのか、なぜ本を作られているのか教えていただき、「大丈夫、本は作れるよ」と背中を教えていただいたのが、今につながっているのだと思います。「本なんて、大作家にしか作れないものだ」という感覚が「頑張れば自分でも本が作れるかもしれない」と、気持ちのフェーズがここで変わったのです。

現在の私の活動を遅ればせながら報告させていただいた後、現在の西屋さんの活動などをお伺いしました。文章における、主観と客観のバランスに時に苦労しつつも、その書き振りそのものを楽しんでもいらっしゃったり、出版社から依頼を受けて、県外にも取材に飛び回っているそうです。とはいえ、今も変わらず根幹はリトルプレスの『kalas』。表紙のキャッチコピーの素晴らしさはもう定評あるものですが、それは「考えて、というより、取材してて出てきたことば」。私もその瞬間のことばに、気が付けるようになりたい。西屋さんから、さらに前に進む勇気をいただいたのでした。

 

・奥山銘木店

西屋さんにおすすめいただいての訪問。名前の通り木材や建築に関する会社が本屋をやっているというユニークな本屋さんです(そういえばこの前は豆腐屋の本屋があったな・笑)。

会社柄、建築やデザイン関連の本のほか、暮らしや旅関係の本も充実。個人的に好きなラインナップで閉店ギリギリまでチェック。林典子さんの『フォトジャーナリストの視点』(雷鳥社)を買い求めました

「西日本一周の旅…点景 2018.5.27」

 

奈良井宿(長野県塩尻市)

 →本手打そば処 相模屋

 →おやき てずから

まつもとクラフトフェア(長野県松本市)

LABORATORIO(松本市)

浅間神社 仙気の湯(松本市)

 

この日は完全に観光モードな一日。すでに東日本まで戻ってきています

 

・奈良井宿

中山道の宿場町の一つで兼ねてから訪ねたかたところ。

街道筋に入るや、急峻な山並みを背景とした宿場の佇まいが眼前に、バーっと現れ、このインパクトたるやすごい!コテコテの再現した感がなく、風景に違和感がありません。ところどころで水が湧き、ツバメが水先案内人であるかのように街道を飛び交います。お花に水をやる地元の方や、箸の漆塗りの実演に見入る観光客、カメラを構える外国人の方たち・・・現在も様々な人々が往来する宿場町です。

全国の古い町並みのなかでも、ここばかりは別格感があります。そもそも町並み保存に関しても、奈良井宿は全国の町並み保存の契機を作った先駆け的存在で、昭和43年から保存活動が行われ、昭和53年に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたというから驚きです。

蕎麦も美味しく、おやき屋で買い求めた五平餅も香ばしい。「朴葉巻」はちまきかと思いきやそうではなくて、「ここでは柏の葉が採れないのよ」と、柏餅の餅を、柏の葉ではなく朴葉でくるんだもの。何個か束にして結わいてある、その佇まいがまたかわいい。

 

・クラフトフェアまつもと

自転車を積んできて大正解。メイン会場のあがたの森以外にも、街中のあちこちで催しが行われていました

 

・仙気の湯

さすがに回りすぎて(しかも暑くて)疲れたー。喧騒を離れて公衆浴場の仙気の湯へ。クラフトフェアとはまったく異次元のような雰囲気(そのギャップがすごい)ながら、地元の人が挨拶かわしながら入りにくる、その変わらぬ日常のリズム。心身ともにリフレッシュできました

「西日本一周の旅…点景 2018.5.28」

 

栞日(長野県松本市)

扉峠~和田峠ルート(松本市→長野県長和町)
 →成城学園ふるさとの森
 →よもぎこば林道
 →ビーナスライン

YUSHI CAFE 天保堂珈琲(長野県佐久市)

REBEL BOOKS(群馬県高崎市)

来来(高崎市)

椿食堂(高崎市)

さくらの湯(高崎市)

 

・栞日

館山の陶芸家、西山光太さんのご紹介がきっかけで『房総コーヒー』を置いていただいていて、改めて店主の菊池さんご挨拶。モーニングをいただきつつ、菊池さんが編集された『アルプスごはんのつくり方』を購入。農の現場から食堂まで、美しい写真とともに綴られています。読むのが楽しみ。今年のALPS BOOK CAMPは7/21-7/22

 

・高原道路

その声を訊いて思わず車を止める。峠越えの県道が通行止めになっていて林道で迂回をしていると、シャワーのように春蝉の清々しい声が降り注ぐ。深呼吸すると、森の匂いとともに、白樺林の梢のむこうからやってくるカッコウの鳴き声。高原の空気と溶け合い、山の上空にこだまするその声は、柱時計の鳴き声にはない、山の生き物としての存在感がありました。春の蝉の音色に出会えるのは数年ぶり、岩手のタイマグラで訊いて以来です。まさか信州でこんな素敵な重奏曲に触れることができるなんて。

ぽやぽやとしたパステルカラーのカラマツ林は、数日前に高知で見た弾けるような濃い色彩を放っていた山並みとは本当に対照的。画家で言えば、同時期に北に向かった東山魁夷と、南へ向かった田中一村を想起させます(ちなみにどちらも千葉県ゆかりの方)。どちらの森も美しい。多様な日本の表情。日本人でよかったなぁと思います。

 

・YUSHI CAFE 天保堂珈琲

中山道の宿場、望月宿の面影に邂逅する地。カフェの書棚に見つけた『岩木遠足』(豊嶋秀樹編著)を手に、昼下がりのコーヒー時間。古い民家のテラスからそよいでくる風が心地よく、うつらうつらしながら頁めくってゆく。

『既存の地図をひっくり返すようにして、自分なりの地図を描いて探求していくことの方が、今は冒険的じゃないですか?刷り込まれた地図ではない新しい地図を自分でつくる。そうやって見慣れた場所の中に道の荒野を見つけていけばいい。

(中略)県境とかを取っ払って、岩木山の見えるところを巡ってみるのもいい。そうやって新しい地図の上を旅することの方が今は面白いですよね。』

『見慣れた場所を旅しながら、そこに未知の世界を見ていくような旅が、今は一番面白い。』

本に書かれた写真家、石川直樹さんの言葉が感覚を目覚めさせてくれる。次の本を作る覚悟ができた。

 

・REBEL BOOKS

ジョウモウ大学を主宰されている萩原さんが店主を務める本屋さん。ありがたいことに編集室の本が完売していたため、在庫のあるバックナンバーすべてを追加納品させていただきました。

すると、栞を作るサークルに参加されている常連さんがいきなり『房総コーヒー』をご購入くださり、さらに以前同著を購入していただいたAさんもご来店。読者の方にこうしてお会いできるとは嬉しい限りです!Aさんは「haim」という屋号で全国を巡るコーヒー屋台をされている方で、手回しの焙煎機で日々コーヒー豆を焙煎をしつつ、高崎の飲食店でバイトをしているそう。「お店を持ちたいですね」と、夢溢れる青年です。

6/30-7/1にはzineの展示販売イベント「ZINPHONY(ジンフォニー)」を別会場で行うそうです。西日本(&ちょこっと東日本)の地方を回ってきて、群馬のzineを巡る活動は飛び抜けて光るものがあると感じます。

 

・来来

萩原さんにオススメの食事処を伺った際に教えてもらった台湾料理のお店。実は現在発売中の『オズマガジン』最新号で高崎が特集されていて、萩原さんがやはりオススメの食事ところを解説しています。ですが「ここの雰囲気は『オズマガ』じゃ紹介できないかなと思って」と、かなりデープな場所にある。うらぶれた歓楽街の狭い路地にありビビッドなネオンが暗闇に浮かぶ・・・な、なるほど(笑)

中は妖しい雰囲気ではなく、ご家族がやられてる食堂風な感じ。創業30年ちょっとだそう。「乾麺」という、つけ麺ともラーメンとも形容しがたい麺物と焼餃子を戴く。濃いめのタレが浸った病みつきになりそうな味わいでした

 

・椿食堂

萩原さんおすすすめの食事処をハシゴ。レベルブックスの裏手にあり、古民家を改装したその佇まいがいい感じ。2階はお座敷になっていて、なるほどこっちは女子受けしそうで『オズマガ』でも紹介されている(笑)。

厚揚げと野菜の甘酢炒めの定食を頼むと、店員さんが萩原さんの奥さまだった(笑)。店主のひろしさんは、実は『椿食堂の小鉢』というzineを作られていて(レベルブックスで購入しました)、食堂で出している小鉢の紹介が、一つ一つ切り貼りしたイラストとともに紹介されています。レシピに分量・割合が載っていませんが、同様のレシピはネットで調べることもできるとした上で、巻末にはこうありました。

『美味しい料理は割合が作るものではなくて、味覚が作るものだと思いますので、最初はじっくりと、好みの味になるまで味見をたくさんしながら作るのが良いと思います』 

すでに第二弾も制作中とのこと。どんな内容になるか楽しみです。