【いっぴんさん】旬を詰め込んだこの缶詰に、“缶詰は保存がきくけど味は二の次でしょ”という既成概念を見事に崩されました〜千葉産直サービス「とろ青魚缶シリーズ とろさんま」

『月刊ぐるっと千葉』 11月号のいっぴんさんは

千葉産直サービスの「とろ青魚シリーズ とろさんま」です

先月、千葉県の誇る無添加加工食品会社、「千葉産直サービス」に取材の申込をすべく、電話をかけました。千葉産直は『健康は食から』という理念のもと1976年に創業。86年に発売した「とろ青魚缶シリーズ」と呼ばれる、青魚の缶詰は、今なお千葉産直を代表する看板商品です。


電話に出ていただいたのは代表の冨田正和さん。製造過程も読者のみなさまにお伝えしたいという取材の趣旨説明をするや、


「うちの缶詰は年数回しか製造していないですからねぇ、、、」


と渋い表情が見えるような口調で冨田さんは語ります。その後、工場に確認をしていただけるということで、一端電話を切りました。そう、千葉産直は、旬のベストな状態の魚が獲れなければ缶詰を作らず、手に入った時にまとめてつくるというスタンスをとられているのです。


そして、再び電話をすると、


「明日、銚子に来られますか?

 すごい良いサンマが揚がったそうなんです!」


と、やや興奮気味で語る冨田さん。

即、敏腕カメラマンのオリモト氏に撮影予約をとって、翌日、銚子へと向かいました。


辿り着いたのは銚子ポートタワーから外川の方面へ少し走った、加工施設の集まる区域。もう半島の東端のあたりですね。ここに、「サバカレー」で有名な銚子市の缶詰メーカー「信田缶詰」の加工工場があります。実は千葉産直の製造委託先のひとつとして、ここ信田缶詰があるのです。長年築かれてきた千葉産直と信田缶詰の信頼の厚さは、ぜひ本誌誌面をご覧ください。


さっそく信田缶詰の生産工場に潜入し「とろ青魚缶」シリーズの「とろさんま」の製造過程を見学します。

料亭に出せるレベルの、ぷりぷりのサンマがいっぱい!これを惜しげもなく缶詰にしてしまいます
料亭に出せるレベルの、ぷりぷりのサンマがいっぱい!これを惜しげもなく缶詰にしてしまいます
敏腕カメラマン氏にも力が入ります
敏腕カメラマン氏にも力が入ります

サンマの向きを整えた後、機械で輪切りに切断します。切断面を見ると、脂ののっている具合が一目瞭然なのですが、それは本誌でぜひご確認を
サンマの向きを整えた後、機械で輪切りに切断します。切断面を見ると、脂ののっている具合が一目瞭然なのですが、それは本誌でぜひご確認を
溢れんばかりに詰め込まれたサンマの缶がラインを流れていきます
溢れんばかりに詰め込まれたサンマの缶がラインを流れていきます

重量の過不足は人の手で調整されます
重量の過不足は人の手で調整されます

冨田さんも醤油を注いでる場面を撮影中(笑)醤油は小豆島のメーカーの国産原料醤油と、喜界島の粗製糖のみで作られた無添加醤油を使う。保存料、化学調無料不使用のこだわり抜いた缶詰には妥協がありません
冨田さんも醤油を注いでる場面を撮影中(笑)醤油は小豆島のメーカーの国産原料醤油と、喜界島の粗製糖のみで作られた無添加醤油を使う。保存料、化学調無料不使用のこだわり抜いた缶詰には妥協がありません

取材後、試食してみると、もう食感から違うのです。

脂ののった表面がじゅわりととろけ、ほろんと崩れる身からうま味がきゅわっと放たれる、、、。こんなにも身体にすっと溶け入るような味わい深い缶詰はなかなかありません。


「とにかく、あの最高の魚を伝えたいんです。

 品質を下げると十年培った信用も一気に崩れます。

 百年続く商品にしたい」


と熱く語る冨田さんの表情が思い返されました。

確かにひと缶100円で売られている缶詰より、一見高いように思えます。ですが、この使っている魚の品質、調味料へのこだわり、そして作り手の熱意に触れ思ったのは、100円の缶詰と、横並びの価値観で語ってしまうだけでは、あまりにも魚にも作り手にも申し訳がない気がするのです。


是非一度、千葉産直の缶詰をの味わいを体感してみていただければと思います。